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[レビュー] 怖いモノには蓋をしろ

更新日:2022年9月10日



こんにちは、倉下です。

今回の作品、レビューの投稿が少々遅くなりましたがプレイしたのはお盆の時期でして、色々な怖い話を楽しめる夏にピッタリの一作でした。…とはいえ、作中でも季節が巡りますしプレイ時期問わず楽しめる内容なので気になった方は夏を待たずに是非どうぞ。怖い話の他にも要素が盛りだくさんです。


《作品情報》

怖いモノには蓋をしろ (妄想レトロピア様)

  • ジャンル: 乙女ゲーム

  • 作風: 現代、シリアス、ダーク、ホラー、サイコサスペンス、ヤンデレ、メンヘラ

  • 制作ツール: Live Maker

  • エンド数: 15

  • プレイ時間(公式): フルコンプまで約30時間

  • プレイに至った経緯: 「crAsmビジュアルノベルリスト2021」投稿作品




《ストーリー》

(公式サイトから引用)

​誰もが何かに蓋をして生きている そのことに、気付かないフリをしている 某有名イベント企画会社から送られてきた、一通のダイレクトメール。 そこには、夏の怪談イベントと称した「百物語」の開催予告と、参加者を募る内容が書かれていた。 ホラーやオカルトが好きなアナタは、単身イベントに乗り込むことに。 イベント当日。 会場で出会ったのは、10年ぶりに顔を合わせた幼馴染と、同じ大学の親友。 思わぬ出会いを喜ぶアナタだったが…… 「怖い噺」に導かれ、解けていく記憶の蓋。 過去と今に翻弄され惑う、彼らの行く末は――――


《レビュー(サマリー)》

(◆◇評価の基準はこちら

  • クオリティ: ◆◆◆◆◇

    • イラストはご覧の通り綺麗で量的にも充実しており満足でした。システム面も問題ありませんでした。随所で凝った作りこみをされていて、特におまけページは必見です。シナリオは怖噺(コワバナ)篇・恋噺(コイバナ)篇・深層篇の三部構成。序盤から退屈させない内容でした。難易度も丁度良かったです。

  • 好み: ◆◆◆◆◇

    • 怖い系はあまり得意でないものでホラーやサイコ、サスペンスは機会が無いと手にとらない性分なのですが、本作は蓋を開けてみるとコミカルな要素も多くて面白かったですし、単なる脅かしというより考えさせられる内容だったので楽しめました。キャラ達の言動にリアリティや納得感があって良かったです。


《レビュー(メイン)》

 主人公、主人公と中3から一緒に過ごしているユキ君、主人公の幼馴染で10年ぶりに再会したアキ君、の3人を軸にお話が進んでいきます。

作品紹介については公式サイトやゲーム紹介冊子がわかりやすいです。


 まずシステム面ですが、一般的なLiveMaker作品相当で概ね申し分ナシでした。既読スキップがあまり早くない(エフェクトが飛ばない)のでコイバナ篇のエンド回収で周回すると少し大変かもしれませんが、一部のエピソードはまるっとスキップできますし選択肢もあまり理不尽という印象は無く。何より、どうしても困ったときはHPで完全攻略を見れるので安心です。自分は全篇通して攻略を見ずにフルコンプできましたb

 主人公のデフォルト名が無く自前で苗字・名前を用意しないといけないのですが、様々な場面で「(文系女子大学生に転生?した気で)自分事として体験してほしい」といったようなメッセージが伝わってきました。コワバナの中には"参加できる"ものもあったりします。敢えてデフォルト名を用意されていないのも頷けます。


 個人的にはホラーや闇など怖い系は退けがちなもので「途中でこの作品に蓋をしてしまいそう…」と思いつつプレイし始めましたが、闇雲に登場人物を不幸にするようなものではなく各々の行動に納得感があり、どのシナリオもエンドもとても楽しめました。作品紹介の注意書きから恐れていたほどは怖い要素・鬱要素は強くなかった、というのが個人的な感想です(実は自分がサイコパス気味なのか?)。

 「納得感」と申しましたが…発生する事象があれこれ偶然すぎたり、キャラの言動があまりにリアルの人間とかけ離れていたりすると個人的には萎えてしまいがちなのですが、本作については読み進めるときちんと「これならアリ」という形に落ち着いてくれました。ネタバレになるので詳細は伏せますが…。


 コミカルなシーンや遊びの効いている要素がふんだんにあってfunnyな楽しさも味わえました。男子大学生らしい卑猥なやりとりがそれなりにありますね(笑)良きです。セクシーなシーンは最後までいかないときの方が好きです(描写が丁寧がゆえなのか効果音が無い分視覚情報に集中できるせいなのか…)。

 グラフィックは無いですがサブキャラも充実していました。バイト先の店長ステキ!主人公ちゃん一家が仲良しなのも良いですね。あと主人公ちゃんといえば、やや泣きがち?ではありますが食いっぷりが良い点も好感が持てました。

 もちろん「手放しで楽しむギャグ作品」ではなく、或いはイケメンとイチャラブするだけの作品でもなく、3人の葛藤をじっくり追っていくような内容だったと思います。心理学や哲学方面のような要素も散りばめられており興味深かったです(※超素人感想)。女性向けっぽいから、ヤンデレっぽいから、絵がきれいなだけの作品っぽいから…などのような理由で敬遠されている方がいらしたら少々勿体ないくらいですね。かく言う自分もビジュアルノベルリストに投稿していただかなければプレイする機会を逃していたように思います…(ご投稿本当に感謝です!)。

 言うまでもないですがイラストはご覧の通り綺麗ですし、枚数もシナリオの量に負けないだけあります。キラキラした感じの塗りが好きです、特にユキ君の目はいくらでも見ていられますね。


 プレイ時間約30時間の大作ということでしたが、いざプレイしてみると「長いよ辛いよ~終わんないよ~」といった感覚は無く、寧ろあまり一気にエンド回収をしてしまうのは勿体ないくらいでした。概ね1日1エンド程度で進めていました。

 事前に作品紹介やイラストだけ見ていた際にはあまりユキ君・アキ君がどういうキャラなのか想像できなかったのですが、やはりプレイしてみてなんぼですね。話を進めていくうちに印象が変わったりもします。最初は「[主人公&ユキ君] + アキ君」のような印象だったのですが、深層篇まで読むとやっぱりアキ君も放っておけないといいますか…主人公に対する立場がユキ君・アキ君で違う、けどどちらも同じくらい重要な存在、という関係性が良いですね。どっちが推しかは決めかねます。。


 最後に、特筆すべき事項として「おまけコーナー」があります。凝り具合が半端ないです!プレイ途中でもしょっちゅう見に行きましたし、最終的にはきちんと全部埋めましたb


 ということで、今回はこの辺りで。ご覧いただきありがとうございました!


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