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[レビュー] フルリメイク版アバンチュール

更新日:2022年6月5日



こんにちは、crAsmの倉下です。

今回はこちらの作品です。記事が長くなってしまいましたが、ネタバレはありませんので未プレイの方もどうぞご覧ください。



《作品情報》


フルリメイク版アバンチュール闇黒天使様)

  • ジャンル: 乙女ゲーム

  • 作風: ギャグ・シリアス

  • 制作ツール: NScripter

  • 攻略対象: 6

  • エンド数: 21

  • プレイ時間(公式): 約5時間~6時間

  • プレイに至った経緯: 後述

  • 詳細 & ダウンロード



《ストーリー》

(公式サイトより一部抜粋)


世界で最も北に位置する緑豊かな国、ギリア王国。

その国に一つの災いが訪れようとしていた。


人魔世紀1069年、絶世の美姫とされる彼女の17歳の誕生日。

その日の一週間前から、この物語は幕を開ける。


何不自由の無い王城での暮らし…。

小さな疑問も浮かべることもなく、彼女はやがてその日を迎えるのだ。


王女という地位を失い、大切な者を失った彼女の新たな道とは…?

血の惨劇から生き残った三人の近衛騎士とともに

国を取り戻すための冒険の旅が今始まる……!




《レビュー》





思い出話(読み飛ばして構いません)

この作品は、2006年頃に初版がリリースされ2014年にフルリメイクされた作品です。中高生時代?にリメイク前のバージョンをプレイしたことがありまして、実に十数年ぶりの再会でした。リメイクされているのは知っていたのですが特段手に取る切っ掛けも無いままで、今回crAsmビジュアルノベルリスト2021に投稿していただいたので良いタイミングということでプレイさせていただきました。


お恥ずかしながらストーリーはほとんど記憶に無く;ぼんやり覚えていたのは以下のみでした。

  • 主人公以外も立ち絵でなく正方形の顔グラ

  • メインの男性陣は3人

  • エンジンはコミックメーカー2

  • 割と甘め?

  • 結構気に入っていたはず

あと当時は逆ハーが何なのか分かっていなかったり、"アバンチュール"という単語の意味を調べて「あれ、このゲーム結構大人向けだったのかな」と思っていたような気がします()。

加えて、初版のアバンチュールは手描き&スキャンっぽいイラストだったので「こういう形なら自分も作れるかも」と思ったかもしれません(当時は自分のPCやペンタブを持っていなかった為)。…勿論スキルも工数も足りず結局作れなかったわけですが。やはりゲーム制作は甘くない。


ということで、少々脱線してしまいましたが、記憶は悲しいくらいガバガバでしたorz

以前、別の作品を数年ぶりにリプレイをしたときでさえメインキャラと黒幕と結末くらいしか覚えておらずサブキャラや詳細な展開は忘れていたのですが…十数年も経つともう完全にダメですね、、。


本作の主人公はお姫様なのですが、近衛騎士の3人(1枚目の画像)は名前とイラストを見たら「ああ、居たなぁ」とすぐ思い出せました。あとうっすらアストロおじさんも。




構成や内容など


ゲームのシステムまわりは以下の動画が分かりやすいです、特に2週目以降に見るといろいろ気づきがあるかもしれません(自分がこの動画の存在に気づいたのはフルコンプ後でしたが;)。


エンド数21とありますがストーリーはほぼ1本道で、最後の選択肢の前でセーブしてロードし直せばそこまで周回せずにエンドを回収できます。とはいえ、主人公の属性(天使・小悪魔・魔性)によってエンドが変わるので最低3週は必要です。また、近衛騎士3人は前半で少し個別ルートがあり、通らないと見れないイベントやスチルも若干あります。

あとは、最初からやり直すかセーブ・ロードを使うかは、ある程度気持ちの問題かと思います。


1週目は3~5時間ほどかかると思いますが、全10章ほどに分かれており1章あたり20~30分で遊べるので中断のタイミングも分かりやすく進めやすいです。まぁ、章の最後にある次回予告のせいで次の章を早く読みたくなってしまうので困りますが(笑)。


全てのボイスを最後まで聞くとやや長く感じられますが適度に飛ばすとテンポ良く進められると思います。尚、バックログでもボイスを再生できるので「今のボイス飛ばさなければよかった!」という場合も聞きなおせます。


その他、ゲームとしての基本的なシステム面も概ね申し分ないです。強いて言えば、ライ君のエンドを全部回収したときにライ君でなくルイ君のコンプ特典が解放される現象が見られましたが、どのみち全エンド見ると全員分のコンプ特典が解放されますので大きな問題ではありません。

また、あのボリュームでほとんど誤字脱字が無いのも驚きでした(過去のバージョンアップ時に修正も入っているようです)。


フルボイスや前述の次章予告、そして豊富なイラストなどのおかげで、本当にアニメを見ているかのような感覚で楽しめました。イラストは一枚絵やカットインがたくさんあるだけでなく立ち絵ポーズ差分も充実しています。


BGMは全てこの作品用に用意されているようで、その点もすごいと思います。曲数と曲調のバリエーションも多いです。また、フリー素材だと作品間でBGMの重複も起こり得ますが、この作品ではキャラ固有・土地固有のBGMもありますし他作品と被らないのはやはり強いですね。

フルボイスのご用意が大変そうなのは言うまでもありませんかね(サブキャラやちょい役?も完全にボイス付きです)(尚、主人公は有/無を選択可)。全てお金で解決していたら新車一台買えるくらいの制作費になるような気がするのですが。それに2014年リリースだと外注サービスも今ほど充実していないイメージがあるのですが。…ということで、作者様の人脈や人望が成しえた成果なのではないかとお察しいたします。


一言でいうと、

皆がやりたがる(けど容易にできない)ことを、この作品は実現してしまっている

のではないでしょうか。




シナリオの話


皆の憧れ~というとシナリオもそうで、「イケメン男性陣からことごとく愛される」というのは

女性の憧れとして定番?なのかと思いますし、剣・魔法・エルフ・魔物・国々と戦…といった要素が織りなす世界観はファンタジー創作が好きな人はやはりあれこれ考えると思います。

ただ、それらを脳内からアウトプットするだけでも大変ですし、ましてや自己満足でなく他者が読んでも面白い形にまとめられる人は必ずしも多くないのではないでしょうか。


アバンチュールでは、主人公の姫様は城の侍女たちからも好かれ、ライバル的な立ち位置の女性たちも納得?させてしまうという人間の鑑のような存在です。他方でちょっといたずらっぽいところもあったり年相応な振る舞いもあったりするのでただの完璧な人!という感じでもなく。そこが良いですね。


若干脱線しますが、シナリオに負けないイラストが用意されているという点も見逃せません。姫様の微笑み差分がとてもきれいです。他のキャラや他の差分もそうですね。どちらかと言うと筆の速さ重視されているような印象を受けるのですが、それでいて押さえるべきところは押さえている?という感じでしょうか(美男子・美女の設定でイラストのクオリティが…だとどうしても首をかしげてしまいますし、逆に外注などでキレイなイラストを用意していても制作費/期間の都合で量的に物足りないケースもありますので)。


世界観については、同レーベルさんの他作品でも世界観が共通しているようなので他作品で更に深く知りたいですね。あと各キャラの裏側などももっと色々お話がありそうで気になります。設定があるなら世界地図も見たいですね。盛りだくさんすぎて物足りない。設定資料集とか出たら絶対欲しいやつです。あ、HPに年表etc.はありましたね。


序盤に"災い"があって死傷者が出たりとシリアスなシーンもありますが、ドロドロした展開はほぼ無く、コミカルなシーンが多かったり困難があっても一同協力し合って乗り越えていたりと全体通して安心して読み進められる内容でした。




逆ハーレムに関して


実は逆ハー(逆ハーレム)と聞いてもあまりピンときていなかったのですが、何となく「乙女ゲームはどれも逆ハーレムのようなものでは」という認識だったかもしれません。1人の女性が複数の男性に愛される、ということで。

今回プレイしてようやく気付きましたが、以下のような違いがあるということ…かもしれません。

  • 一般の乙女ゲーム: 原則1ルート1人対象、頑張らないと恋愛成就に至らない

  • 逆ハーレム: 基本は共通ルートで始終複数の男性から愛されてる


リメイクに当たり好感度システムを廃止したとのことで(言わばデフォルトで男性陣の好感度MAX)確かにここまで来ると潔いといいますか。


他の逆ハーレム作品がどうなのかはわかりませんが、少なくともアバンチュールに関して言えば、接吻レベルの甘いイベントが共通ルートだけで全員分あったと思います。自分があの男性陣の1人だったら「お前っ、人の女(ではまだないけど)に手を出すな!」とキレそう…というより意中の相手に手垢が付くことで凹みそう。

あまり抵抗しない姫様も姫様ですしね。海外の文化だとキスくらいまでならある程度誰とでもしますかね(?)。まぁ事故としてやり過ごしていることも少なくないですが。

とりあえず、共通ルートであれこれされるせいで個別エンドの印象が若干薄いです^^;とはいえ、共通ルートで見せない顔を見せてくれるケースもありますし後日談も付いてますし個別エンドがあってくれるのは全然うれしいのですが。でもやっぱり逆ハーエンドが一番楽しそうでいいですね。

しかしそうなると、この姫様は一体何人の男性の遺伝子を淘汰してしまうんでしょうか(笑) 順番に1年に1人ずつ…いや、こんなことを考えるのはやめましょう。


あと、よく考えると全員とても積極的で「どうせ俺なんて姫様に釣り合わない…」みたいな卑屈なキャラは一切居ないですよね(自分が姫様一行の中に居たらこんな感じだと思うのですがw)。そういうキャラが居たらバランス崩れそう。いや、ギリア王国では淘汰されていそう()。




好きなキャラなど


最後に個人的に好きなキャラなどについて。

やっぱりアオイ君ですかね、人気投票でも一番人気のようですが。初版プレイ時もアオイ君派だった記憶がうっすら…。

あとルイくんですね、最初からデレる気はあまりなさそうでありつつ、終盤にいくにつれ可愛い顔を見せてくれるようになるのが良いですね。クロス君やアスカ君、ライ君も普通にいい男です。クロス君はまさに姫様のお相手っぽい立ち位置・ビジュアルにもかかわらず他の人たちが濃すぎて目立ちにくい気がするのは気のせいですか(笑)。


それから、ディディ姉さまやセリ君も好きですね。あとタナーザやアビスフィア嬢ですとか。2週目以降でもスキップを止めてボイスを聞いていたりしました。クワッサリーさんももう少し見たかったですね、秘めているもの?がありそうで。

作品がファンタジー創作としては王道なせいか、好きなキャラを挙げると自分の好みが割とストレートに出るような気がします。。


HPでアバンチュールⅡの方の作品紹介を見るとみんな服装が更にリッチになっていたりします。Ⅱはリメイクされるんですかね…?リメイクされたら是非プレイしたいです。(因みに昔プレイしたかは記憶が曖昧です;一部のキャラの衣装に既視感はあるのですが。)これだけキャラが多いとある程度声優さんが変わってしまう予感もしますがそこは仕方ないのかなと。

現在公開されているバージョンでも現在のPCで動くようではありますが、もしリメイクされるならリメイク版をプレイしたいですね。


ところで、フルリメイク版アバンチュールの方もHPの作品紹介にて本編にはない画像やキャストトークも置いてあるので気になった方は足を運んでみてください。フルコンプ後にキャラ紹介を見て「あ、そうだったんだ」となった部分も意外とありました。




それでは、今回はこの辺りで


改めまして、たいへん良い作品でした!

ありがとうございました!


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