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[レビュー]犯人はまだ寮の中にいる!!弐


こんにちは、倉下です。

今回のレビューは推理ゲームです。過去にほとんど推理ゲームを遊んだことが無い身で書いていますので何かと至らぬ点もあるかと存じますが、その点ご了承願います。



《作品情報》

犯人はまだ寮の中にいる!!弐 (ぷろじぇくと‡天和地獄様)

ジャンル: 推理ゲーム

作風: シリアス

制作ツール: 吉里吉里2/Kag3

エンド数: 9

プレイ時間(公式): 3~6時間(ルートによる)

プレイ時間(体感): フルコンプまで10時間程度?

プレイに至った経緯: crAsmビジュアルノベルリスト2020投稿作品



《ストーリー》

(公式サイトから引用)


「この鍵は登録者の指紋、静脈、体温を瞬時に感知して、鍵の開閉を行えるようになってる」


かつて、謎の殺人鬼が猟奇的殺人を繰り広げたという噂もある廃寮。

仙台S高専の映像制作愛好会に所属する8人の男女は、

高専祭で上映する映像作品を撮影するため、

夏休みを利用して、その廃墟と化した社員寮へと合宿に向かった。

ところが合宿2日目、メンバーの1人が惨殺されたことで事態は一転。


生きている人間にしか施錠できない密室の謎――。

そして、次々と起こる血みどろの不可能犯罪に、

主人公は立ち向かうことができるのか。


 

《レビュー(サマリー)》

(◆◇評価の基準はこちら

  • クオリティ: ◆◆◆◆◇

    • 背景を自前で用意されており、また立ち絵は素材を使用しつつも作中に合うように随所で加工・加筆されていて何が起きているのか分かりやすかったですし迫力がありました。事件の真相が分かったときは非常に爽快感・納得感がありました。

  • 好み: ◆◆◆◆◇

    • 登場人物が高専生という点が個人的にツボでした。

    • 死者は出ますが単なるホラーや脅かしばかりでもなかったのであまりビクビクせずにプレイでき、推理ゲーム初心者ながら夢中になれました。



《レビュー(メイン)》

この作品はふりーむなどに熱いレビューがたくさん上がっているようなので、ここでは普遍的(?)な内容というより個人的な感想や気に入ったポイントなどを中心に綴ろうと思います。



■ プレイの契機

ゲームにせよ漫画・小説にせよ、推理系というと昔から何となく

「探偵など特殊な肩書の人がやっている→凡人の自分が考えたって分かるわけない」

「自分は読解力・理解力が低いから真相を暴くなんて到底無理」

と思っていたので自ら手を出すことはほとんどありませんでした。ただ、理不尽さやホラー要素が無ければ"考えること"自体は嫌いではなく。


crAsmビジュアルノベルリストに投稿して頂いたことでこの作品を知りましたが、

  • 同人ゲーム・オブ・ザ・イヤー「ロジック部門」受賞ということで目に付いた

  • 素材立ち絵を使用しているものの公式Twitter上に登場人物のイラストがあった

    • → 素材をそのまま表示するだけでない、幅広い表現を期待できるのでは

  • 登場キャラが高専生であり、探偵や警察のような人物が見当たらない

    • → 独特の雰囲気 & 自分でも推理できそう?

ということで前々から気になっておりまして、今回プレイさせていただきました。



■ プレイしての感想など

最初の車が走るシーンで圧倒的なクオリティの高さを見せつけられました。背景が自作なのもすごいです。小道具の画像もきちんと用意されていて、特にスマートロックが本当に取り付けられそうな機構で感動しました。スマートロックは「指紋・静脈・体温」による認証ということで現代の技術で現実的な仕様っぽく見えるのも良いです。


「本当に推理できるのだろうか」といった懸念はありましたが、自分のようなド素人でもある程度怪しい箇所を見つけられたと思います(少なくとも1人目の犯人は読み通りでした)。

結論から言えばヒント/答えを割と色々解放してようやくコンプリートに至れたわけですが、「どうせ考えても分からない」と思って序盤からヒントを見るというよりかは限界まで自力で考えていました。

ヒントを開けてみると、着眼点は悪くないものの細かいところが詰め切れいなかったような感じでした。推理(真相)を聞いて「あのときのアレはそこに繋がるのか(それは分からんわ)」という部分が幾つか………ですが、理不尽さはありませんでした。完全に詰めれなくても正解の選択肢さえ選べばあとは主人公が勝手に説明してくれるのであくまでプレイヤーは惜しいところまで持っていければ十分だったと記憶しています。

話が前後してしまいましたが、きちんとヒント/答えが用意されていたのがとても有難かったです(答え=完全回答というわけではないのも個人的には嬉しかったです)。


話の内容やキャラクタが魅力的だったのも「自力で推理したい」「全エンド見たい」と思わせる要素だったと思います。本編の他におまけも予想に反して充実していて大変満足でした。メインの人たちばかりでなく、危うく空気になりそう?な人たちにも出番やドラマがありました。謎が全て明らかになったときは非常にすっきりしました。加えて制作秘話まで見れて更に納得できました。



■ 推しポイント

推理に関しては素人なので上記にとどめることにしまして。


個人的にはやはり、登場人物が軒並み(等身大の?)高専生だった点が一番気に入りました。

自身の話になってしまいますが…その昔、中学時代に工業高専を受験した経験があり(オープンキャンパスも行った)、かつ、高専は辞退し普通科に進んだもののその後工学系の進路を選び高専卒の人とも多少接点があったりしたものです。プレイしていて改めて、自分の人生の中3の頃のセーブデータ読み直して高専に行く選択肢を選びなおしたくなってきました;(激しくどうでもいい)。そんなこんなで、高専生が動いて話してるだけで株が上がった感はあります。


登場する同好会メンバーも高校生と大学生が混ざっているような顔ぶれだったので高校の部活とも大学のサークルとも少し違う雰囲気でしたし、スマートロックや発電機など高専生ならではのくだりも良かったです。学科名や会話中に出てくるの授業の内容などもリアリティがありました。


キャラとしては雨流君がお気に入りです。自分がメカ系なので共感?できる部分が多かったかもしれません。また、主人公と学年も近いですし、普通に「いい奴」感があってGW前の件は本当に気の毒。。氷室さんもなかなか爽やかで、Twitterの誕生日漫画で一際輝いてます(笑)。

鬼怒川がどういう人間なのかもう少し見てみたかったです。特に例の色恋沙汰でどんな口説き方をしたのか、とか…。あと「鬼怒川、お前だ」を選択したときの反応がとても可愛い。

あとは、六波羅さんが程よくイケてない側面もありつつ程よくイイ男で良い主人公でした。


それから。

ご都合設定のようなものが最小限(恐らく)という点も良かったです。舞台についてはそんな都合の良い廃寮が現実にあるとは想像しにくいですがその点はある程度仕方ないと思いますし(エンターテインメントとして必要なスパイス的な)、でもって「バブル後に閉じたスキー場の社員寮」というそれなりの理由付けはありました。また、死体の切断や運搬がそんなに簡単じゃないという描写や真夏であることを忘れていない描写などもあり…。

時々"不満が無いという満足"のような表現をしますが、全体的に「そうはならんだろ」みたいな描写・展開がほとんど目に付かなかったのが良かったと思います。


ここまで、ネタバレなしの感想でした。

まずはここまでご覧いただきありがとうございました。




以下はネタバレを含みます

コンプリート後の閲覧推奨です







ネタばれとは言いつつも、ネタバレの程度は作中の助言を全部解放+α…くらいのつもりです。


ヒント無しで埋められたエンドは BAD1~4、True、Axxxxx でした。


その後、ヒントを少しずつ解放するもなかなか新しいエンドに行けず、いろいろ解放して漸くでした。

ヒントにもあったように六波羅さんの話し方で情報不足or推理ミスが分かる仕様だったので最初の推理モードは情報不足でないことを確認でき次第半ば総当たりのようなことをしてました;左頬を抉った理由が分からなかったり、何と言っても人間の頭の寸法を誤認していたり。。。犯人は合ってましたが細かい説明が無理でしたorz

余談ですが、"アレ"が入れ替わってるのは結構早く気づきましたが、彼の耳打ちを聞くまで彼の仕業かと思ってました;部屋移動時のくだりもありましたし。


次の推理モードもヒントを見て2,3パターン試したらあるところで六波羅さんのセリフが変わった(=あと一歩?)ので、そこからは総当たりでした;ノーマル3を目指していたらベストに行ってしまいました;あの情報がアレにつながるとは思わなかった…しかも前夜の会話まで回収されていたりと。そこからノーマル3は苦労しませんでした。


"最後の最後"の推理だけはノーヒントで解けました!本当に、ここまで楽しめるとは思いもしませんでした。


積もる話はまだまだありますが、隠し要素のような部分にどこまで言及してよいものか悩むので(あと既に長いので)今回はこの辺りで閉じます。


大変楽しませていただきました、ありがとうございました。





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